水曜日。宇宙の渚で待ってるよ嶌田あき
 廃部が決まった天文部のひとりぼっち部員・澪は、顧問教師の羽合にひそかに想いを寄せていたが、なかなか想いを伝えられずにいた。彼は、5年前に亡くなった姉・綾の恋人だったからだ。それでも、活動日の水曜日になると2人は天文ドームに来ては他愛もない話をして過ごしていた。

 ある日、届くはずのない亡姉からのメールが届いたのをきっかけに、彼女が6年前に飛ばした高高度気球が見つかる。卒業式の最後に風船を飛ばすセレモニーで1番高く風船が上がった生徒の願いが叶うというジンクスがあり、綾は何かを願って気球を飛ばしたようだった。記録では気球は高度10キロに到達、文句なしに「1番高く」飛んだ風船だった。

 澪は羽合の中に見え隠れする姉の存在が気になって仕方ない。夏休みの合宿も夜間観測も2人で過ごす時間は楽しい半面、綾のことを思い出してしまい、2人でしんみりする場面も。澪は羽合に想いを打ち明けられずモヤモヤと過ごすことになる。羽合も澪の気持ちには気づいているが、綾への後ろめたさと教師であることの自制心から、決して一線を越えようとはしない。それがなおさら澪をモヤモヤさせる。

 天文部の廃部確定で落ち込んでいた澪だったが、姉が目指した「宇宙の渚」の話に勇気づけられ、最後の文化祭を星空見学会やらプラネタリウムで盛り上げることを思いつく。羽合も「いっちょやるか」と二つ返事で乗ってきて、2人の大作戦が始まる。陽菜・大地・澪の三角関係も勃発し、澪の青春が忙しくなってくる。

 そうして澪は姉の高校時代と自分とを照らし、少しずつ自身のことにも興味を持つようになる。やがて友人や羽合の力も借りて文化祭を成功させる頃には、澪は姉への遠慮をやめ、自分の欲求を表に出せるようになる。

 そして澪は、卒業式で高高度気球を打ち上げ、姉の叶えられなかった「宇宙の渚」の写真撮影に挑むことを決意する。
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