Tosastudy

世界の真実



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戦争が終わって高山に戻ると、 改めて転移者の多さを実感する。 早く転移の謎を解かねば。 転移者の中には現実世界が気になる者もいる。 転移を止めるにはどうすれば良いか、 という意見を各所から募った。 最も多かったのがラスボスの討伐であった。 エンダードラゴンなるものを討伐すれば、 現実世界に戻れるのではないか。 これは多くの者が考えていたことらしい。 こうして私は、極秘裏に討伐を始めた。 ラスボスの居る場所に行くにはどうすれば。 どうすれば勝てるのか。 そんな事を訊いていると、丁度良いものが見つかったという。 ポータルが見つかったのだ。 ポータルは幸い高山のすぐ近くで見つかった。 いや、幸いではなく必然なのなもしれないが。

ポータルの内側には全てを破壊するドラゴンが潜んでいる。 一度攻め込めば倒すまで帰れない。 ならば一度で仕留めるまで。 完全兵装の準備をし、大遠征を実施する。 いざ、ポータルへ。ポータルの中に入ると、 そこには或る筈のものがなかった。


ラスボスである。 エンダードラゴンが存在しなかったのだ。 既に倒されているのか、何故かは分からないが。 ただ、帰るためのポータルはある。 周辺調査はするも何も分からず、 仕方なく帰ることとした。 私を含め一行が拍子抜けしているということに、 見送った人々もすぐに気付いた。 ラスボスがいない。つまり、クリアできない。 これは「戻りたい」転移者にとっては 絶望であっただろう。 しかし、雪原の民との戦争が終わった凱旋のとき、 全てが明かされたのだった。

雪原の民との戦争に勝利し、 遂に平和の時代が訪れた。 この凱旋式にて、転移について知りえた全てを話す時が来たのだ。

転移とは、この世界に来ること。 これが何に誘発されるか。 この解答を私はエンドで得た。 正確にはエンドシティで、だが。 エンドシティ、ドラゴンを倒した先にある、 遥か彼方の世界の果て。 そこに謎を見つけたのだ。 まず、この世界における「謎の建設者」。 これは私である。 元々私が道楽で作っていた壁内の世界。 これをオンライン向けにしようと拡張したのが壁外の世界。 そして公開した数週間後、私自身も転移した。 何故かは分からない。 しかし転移にあるものが関わっている事を見つけた。 これが、エンドシティにあったポータルの一部。 正確には「現実世界と結ぶ」ポータルのものだ。 エンドシティにあったそのポータルは、 今取り外して掲げているパールが欠けていて、 現実世界との転移は起こらないようになっている。 問題はこの現実世界とのポータルは誰のものか、だ。 それについては分からないが、 それ以外についてならば殆ど分かった。 この世界の基盤を造ったのは私だ。 だが、私以外にも創造者がいる。 その者なら、最後の1ピースを知りうるだろう。 だが。 恐らくその者はこの世界には居ない。 こうして世界の殆どを見ても、見つからない。 潜んでいるのか、いや、潜んでいるならばこの戦乱に あるものを出してくる筈だ。

チート。
私がこの世界を開いた時、「創造者」にしか認めていなかった権限だ。 この世界にいて、この戦禍を免れるなど不可能だ。 普通なら何らかの影響を被っている筈だ。 しかし現実世界とのあのポータルは、 何者かによって現実世界側の出口を塞がれていた。 入る事しかできなかったのだ。 自分が出て行く時に、蓋を閉めたのだろう。 ならばその者の目的は何か。 少なくともこの世界に干渉する事だろう。 ならば、干渉できぬように、ポータルを切ってしまえばよい。 どちらにせよ、自分たちは出られないのだから。

凱旋式で知らされた事実に、世界中が驚いた。 この世界を何者かが制御しようとしている。 しかし同時にもう1つの事を知らせた。 あのポータルは封鎖したが、 技術を転用してこちらが主導権を握り返せるかもしれない、と。 こうして完成したのがミニポータル。 現実世界の場所も指定できる優れものだ。 しかし1つ難点がある。 「ミニ」と付くように、大穴を開けられないのだ。 尽力はしたが、大穴となると大量の資源収奪が必要となる。 穴の直径を2倍にするだけでも、10倍以上の資源やエネルギーを要する。 出来てせいぜいペットボトルキャップくらいの大きさ。 こちらの世界から向こうに出るには、 かなり難儀するらしい。 しかし一方でこちらに入るには何故か苦労しないらしく、 どんなものでも入れられるらしい。 位置エネルギーが違う2点の移動のような感じだろうか。 高所からはすぐに行けるが、低地からはエネルギーを要する。 そんな感じなのであろう。 エンドシティにあった原始ポータルも、 現実世界からの電力供給を受けているように見えた。 つまり我が世界に入るのは簡単、 出るのは難しいという状況らしい。

この状況を活かして、ある事を試みる者がいた。 「召喚」である。 この世界に友人を召喚してしまおう、 そんな事を考える者が現れたのだ。 召喚ができれば、使える人材や物品を持ち込めるのだ。 しかし、召喚に応じてくれる現実世界の人は少ない。 それもそのはず、帰還方法不明で、更に失敗例はないものの、 失敗すればどうなるかの説明がつかないからである。 私も友人に掛け合ってみたが、応じてくれたのは1人だけだった。 それが萌香であった。

召喚に成功すると、色々と訊きたい事があった。 何故応じてくれたのか、も重要だが、 最も重要なのは時差だ。 向こう側ではどうなっていたのか。 訊いてみると、驚くべき事が分かった。 同じ日付だったのだ。ここにいる転移者全員が。 転移は同じ時間で行われる。 更に現実世界との会話で分かったのが、 それよりも前としか会話できないのだ。 一度その日付を過ぎてしまえば、何故か二度と繋がらないのだ。 この世界は時間的にも隔絶された世界らしい。

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